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光の演出ってどうやったら上手くなるんだろう?
Blenderで制作したモデルにライトを当てる作業で困っていませんか?
実はライトの特性をしっかり理解すれば、誰でも上級者のように、ライティングすることができます。
なぜなら、これらを知ることで光の方向を自分で考えてライティングすることができるようになるからです。
ライティングは、一見シンプルな工程にみえますが、実はかなり奥深く、ちょっとした工程の違いで作品の見え方が変わります。
しかし、普段の生活で光を演出する経験はなかなかないため、初学者には特におろそかにされがち分野です。
そこで、簡単に「ライティング技術」について基本から応用までまとめてみました。
- Blenderにおけるライティングとは
- 7種類の光の当て方 (基本)
- 試してみたい三点照明について
結論からお伝えすると、ライトの光方向と影を理解して、三点照明を使いこなすことです。
それだけで、光源の環境をつくり、モデルをきれいに写すことができます。
ぜひ、この記事を読んで、いろんなライティングに挑戦してみましょう。
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ライティング技術が上がれば表現の幅が広がるね!
Blenderにおけるライティングとは
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ライティングとは
「ライト」の配置や背景の設定により環境を整えて「レンダリング」した際のモデルの最終的な見た目を決めていく工程を「ライティング」と呼びます。
現実にある物体は、自然光や照明器具などの光源からの光が物体にあたって反射することで色を目で捉えることができます。
一方で、一切光で照らされていない場合は、物体自体が発光していない限り目で捉えることはできません。
よって、光源の環境はモデルの見た目を決める重要な要素の1つです。
同じモデルを同じアングルで撮影したのに、ライト次第でまったく異なる印象の絵を作ることができます。
光源の種類
上手にライティングを設定するには、まず光源の種類と特徴を知ることが近道になります。
設置する光源には大きく分けて2種類あります。
ひとつは各種「ランプ」、そしてもうひとつは「放出マテリアルを使用したオブジェクト (光源オブジェクト) 」です。
ランプの種類については別途、記事を作成中です。
7種類の光の当て方 (基本)
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ライトの位置や高さによって光の方向が変われば、顔に当たる光の量やコントラストも変わります。
つまり、オブジェクトに光がどう当たるかによって、作品の感じ方も全く異なるものになります。
たとえば、オブジェクトの正面から光を当てればシワが隠れて美しく映りますが、サイドから当てれば、影が濃くなって輪郭がハッキリします。
光と影のコントラストで雰囲気がガラッと変わるのです。
そして、オブジェクトに作られる光と影のコントラストはいろんな解釈を生みます。
それでは、よく使われる7つのライティングを紹介します。
レンブラント・ライティング
レンブラント・ライティングは、絵画や写真や映画で非常に使われる技法です。
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これを再現するためには、ライトを高い位置、オブジェクトの上の方に設置して、オブジェクトに対して正面45°~60°くらいのところから照射します。
そうすると、コントラストが強まって暗い時期にいるような強調ができます。
暗すぎると思った場合は、正面にレフ板を置いて影を弱めることも可能です。
このテクニックは、ライト1つで自然かつ強い画を撮れるので人気です。
オランダの画家レンブラントが自画像を描くときに、よくこの技法を使っていたため、レンブラント・ライティングと呼ばれるようになりました。
サイドライティング
サイドライティングは、ハリウッド映画でもよく使われているライティングです。
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カメラの反対側のオブジェクトの側面がライトで照らされて、映像の影が強まります。
カメラの光軸に入らないように、被写体をずらすのがポイントです。
オブジェクトにできるコントラストが強すぎる場合は、カメラの正面の影を濃くするために、レフ板を使って光を反射させるとうまく調整できます。
このタイプのライティングは、カメラ側の影を強めて、オブジェクトの輪郭をシャープにして立体感を出せるため、非常に使い勝手が良いです。
ネガティブ・フィルライティング
ネガティブ・フィルライティングは、オブジェクトに対して直角に光を当てる方法です。
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反対側から光を当ててバランスを取ることはしません。
こうすると、オブジェクトに非常に強いコントラストが生まれるため、明暗がはっきりした雰囲気に仕上がります。
影が光を反射する場合は、ライトの反対側に黒いレフ板を設置して、邪魔な反射を全て遮断すると良いです。
後ろから (逆光)
逆光撮影は、ハリウッドなどでもよく使われる1つの方法です。
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オブジェクトの後ろに直接ライトを当てることで、シルエットを描き出す演出ができます。
オブジェクトの正面にあるカメラの上か下にレフ板を設置して、光を調整したり前面を軽く強調したりします。
レフ板と被写体との距離が近くなればなるほど、レフ板は効力を発揮して、シルエットの効果が弱くなります。
正面から① (順光)
オブジェクトの前にあるカメラの上にライトを設置して撮影する方法です。
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このタイプの光は顔にコントラストを作りません。
光と影のコントラストが一切ないため、あまり美的とは言えないライティングです。
顔から全ての影が消えるため、プロモーションビデオや美容関係の撮影で使用されることが多いです。
映画では、登場人物がテレビや映画館のスクリーンの光を浴びるときの演出によく使われます。
上から (トップライト)
照明を直接シャワーのように上から当てる方法です。
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真昼の太陽のように顔に長く濃い影を作り、見る人に恐怖を呼び起こすこともできます。
このような面を避けるためには、光を拡散して被写体をもっと美しく見せるか、白いレフ板をオブジェクトの前に配置して、高いところからの光を反射させて対応します。
下から (順光)
被写体の下にライトを置くタイプのライティングでホラー的演出ができます。
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この光は顔の輪郭を歪ませて目の周りに印象的な影を作ります。
現実の世界では、地面から光が発されることはないため、この光は自然に見えません。
よって、下からの光は現象的に、闇から放たれる光を連想されます。
試してみたい三点照明について
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「三点照明」はその名の通り、「キーライト」「フィルライト」「バックライト」の3つのライトで対象を照らす技法で、全体的に自然かつ立体感がある見栄えになりやすくなります。
この技法について、詳しく後述します。
三点照明の配置と役割
三点照明はシンプルで取り入れやすく、バランスの取れたダイナミックな画が撮れる技法です。
学校や本で学ぶテクニックのひとつで、キーライト、フィルライト、バックライトを組み合わせて撮影します。
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キーライト
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一番最初に設置されてスイッチを入れられるメインのライトです。
このライトを基準にして他のライトを調整します。
対象を正面、斜め45°の位置、または左右どちらかのサイドから照らします。
対象の視線がカメラの光軸に入らない場合は、通常対象の正面、またはカメラ約30°の位置にキーライトを設置して、正面あるいは斜め45°の位置から照らします。
これは真横に強すぎるコントラストが作られないようにするためです。
フィルライト
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キーライトで生じる影を調整して和らげる補助のライトです。
通常は拡散光で、バランスを取るためにキーライトとは逆側に設置されます。
キーライトより光は弱く、影を弱めるために低い位置、つまり顔くらいの高さに設置されることが多いです。
このライトの代わりにレフ板を置いて、順光や逆光を反射させることもあります。
バックライト
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対象の背後に置かれるライトです。
通常は役者の45°後ろの位置に置かれます。
※真後ろに置かれることもある
バックライトの光がカメラに映ることはありませんが、対象の背中や髪にはその光の影が映るため、対象を背景から浮き彫りにすることができます。
これがないと、被写体は目立たずにセットの中に溶け込んでしまいます。
上記のように、ライトを追加していくたびに、より美的な演出になっていきます。
おわりに
本記事では、Blenderで三点照明を使いこなす方法について解説しました。
現実世界と同じように、ライトは3D空間においても非常に重要です。
せっかく制作したモデルの見え方がパッとしないと残念ですよね。
ライティング技術は、地道にみえるかもしれませんが、一度慣れてしまえば作品の魅力を引き出す武器にもなります。
ぜひ様々なライトを試し、素敵な表現を生み出してください。
あなたのライティング技術に少しでも貢献できれば幸いです。
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何回も見直してライティング技術を向上させよう!